「もし、家族の働き手が亡くなったら、残された家族はどのくらいの公的保障を受けられるのだろう?」
40代で子どもがいる家庭なら、一度は考えておきたい問題です。
生命保険を考えるときも、必要なお金をすべて生命保険で準備するのではなく、
「公的な保障でどこまでカバーされるのか。そのうえで、何が不足するのか」
という順番で考えることが大切です。
その中心となるのが「遺族年金」です。
ただし、遺族年金は、亡くなった人の働き方や年金の加入状況、残された家族の状況、子どもの年齢などによって、受け取れる制度や金額が変わります。
そこでこの記事では、40代子持ち家庭がまず知っておきたい遺族年金の全体像を整理します。
遺族年金とは?
遺族年金とは、国民年金や厚生年金に加入していた人などが亡くなった場合に、一定の条件を満たした遺族が受け取れる公的な年金です。
40代で子どもがいる家庭にとっては、死亡保障を考えるうえで非常に重要な公的保障です。
なぜなら、家計の中心となっている人が亡くなった場合でも、残された家族が一定の収入を得られる可能性があるからです。
ただし、
「遺族年金があるから生命保険はいらない」
と単純に考えるのも、
「遺族年金だけでは足りないから、多額の生命保険が必要」
と考えるのも適切ではありません。
重要なのは、
遺族年金でどこまでカバーできるのかを知り、そのうえで家庭に不足する保障を考えること
です。
遺族年金には大きく2種類ある
遺族年金を理解するうえで、まず押さえておきたいのが、
- 遺族基礎年金
- 遺族厚生年金
の2つです。
名前は似ていますが、それぞれ仕組みが異なります。
遺族基礎年金とは?
遺族基礎年金は、国民年金の被保険者などが亡くなった場合に、一定の条件を満たした「子のある配偶者」または「子」が受け取れる年金です。
40代子持ち家庭で特に重要なのは、子どもの年齢です。
「子どもがいる家庭なら、いつまでも遺族基礎年金を受け取れる」という制度ではありません。
原則として、対象となる子には、
18歳になった後の最初の3月31日まで
という年齢要件があります。
一定の障害状態にある子については、20歳未満という別の要件があります。
そのため、子どもの年齢は、死亡保障を考えるうえでも重要なポイントになります。
遺族厚生年金とは?
遺族厚生年金は、厚生年金に加入していた人などが亡くなった場合に、一定の条件を満たした遺族が受け取れる年金です。
会社員や公務員など、厚生年金に加入している人の家庭では、こちらも重要になります。
遺族厚生年金の金額は、亡くなった人の厚生年金への加入期間や報酬などをもとに計算されるため、
「40代会社員なら月○万円」
というように一律ではありません。
また、条件を満たす場合には、遺族基礎年金と遺族厚生年金をあわせて受け取ることもあります。
したがって、
「会社員だから遺族厚生年金だけ」
「子どもがいるから遺族基礎年金だけ」
と単純に考えないことが大切です。
遺族年金はいくらもらえる?
「結局、遺族年金はいくらもらえるの?」
これは非常に多い疑問です。
しかし、遺族年金は家庭によって金額が変わります。
特に遺族厚生年金は、亡くなった人の厚生年金への加入状況や報酬などによって計算されるためです。
一方、遺族基礎年金には一律の基本額があり、子どもの人数によって加算されます。
2026年度の場合、子のある配偶者が受け取る遺族基礎年金は、
年額847,300円+子の加算額
です。
子の加算額は、1人目・2人目がそれぞれ243,800円、3人目以降は1人につき81,300円です。
したがって、たとえば子ども1人の場合は年額1,091,100円、子ども2人の場合は年額1,334,900円となります。
ただし、実際の受給額は個々の状況によって異なるため、ここで示した金額をそのまま「自分が受け取れる金額」と考えないようにしてください。
また、遺族厚生年金については、亡くなった人の加入期間や報酬などをもとに計算されます。
遺族年金はいつまでもらえる?
遺族年金を考えるときは、
「いくらもらえるか」だけでなく、「いつまで受け取れるか」
も重要です。
特に子どもがいる家庭では、子どもの年齢によって遺族基礎年金の受給期間が変わります。
たとえば、子どもがまだ小さい家庭と、すでに高校生に近い家庭では、その後に受け取れる公的保障の期間が違います。
これは生命保険の必要保障期間を考えるときにも関係します。
つまり、
遺族年金の受給期間と、子どもの成長をセットで考える
ことが大切です。
「子どもがいるから遺族年金がある」と考えるだけではなく、
「その保障は、いつまで続くのか」
まで確認しておきましょう。
会社員と自営業では遺族年金が違う?
40代子持ち家庭では、亡くなった人が会社員なのか、自営業なのかによって、公的保障の考え方が変わります。
会社員の場合
会社員などで厚生年金に加入している場合、条件を満たせば、
遺族基礎年金+遺族厚生年金
という形で公的保障を受けられる可能性があります。
ただし、遺族厚生年金の金額は一律ではありません。
そのため、会社員だから安心、自営業だから不安、と単純に決めるのではなく、実際にどの程度の公的保障が見込めるのかを確認する必要があります。
自営業の場合
自営業者などで厚生年金に加入していない場合、会社員のような遺族厚生年金は基本的にありません。
そのため、一定の条件を満たす子のある配偶者の場合、遺族基礎年金が公的保障の中心になります。
また、自営業者の場合には、条件によって寡婦年金や死亡一時金など、別の制度が関係することもあります。
したがって、
会社員と自営業では、公的な遺族保障の構造そのものが違う
と覚えておくことが大切です。
共働き家庭なら、遺族年金はどう考える?
共働き家庭では、どちらが亡くなった場合なのかによって、家計への影響が変わります。
たとえば、夫が亡くなった場合と妻が亡くなった場合で、
- 遺族年金
- 残された配偶者の収入
- 教育費
- 生活費
- 家事・育児の負担
などが変わる可能性があります。
そのため、共働き家庭では、
「夫が亡くなった場合」だけでなく、「妻が亡くなった場合」も考える
ことが大切です。
遺族年金の金額だけを見るのではなく、
遺族年金+残された配偶者の収入
という家計全体で考える必要があります。
遺族年金だけで家族の生活は守れる?
ここが、生命保険を考えるときに特に重要なポイントです。
遺族年金は重要な公的保障ですが、
「遺族年金=家族に必要なお金のすべて」
ではありません。
残された家族には、
- 日々の生活費
- 教育費
- 住居費
- その他の支出
などがあります。
一方で、家計には、
- 遺族年金
- 残された配偶者の収入
- 貯蓄
- 死亡退職金など
がある場合があります。
したがって、
必要なお金 − すでにあるお金
という考え方で、不足する部分を考えることが重要です。
そして、その不足分の一部または全部を生命保険などで準備する必要があるかを判断します。
遺族年金と生命保険は、どちらが重要?
結論からいえば、
「どちらが重要か」という二者択一で考える必要はありません。
遺族年金は公的保障です。
生命保険は、その公的保障だけでは不足する部分を補うための私的な保障です。
つまり、
公的保障+自分で準備する保障
という組み合わせで考えます。
たとえば、
必要なお金:3,500万円
遺族年金:1,500万円
貯蓄など:500万円
なら、
3,500万円-1,500万円-500万円=1,500万円
というように、不足する金額を考えることができます。
ただし、これはあくまで考え方を示す簡単な例です。
実際には、遺族年金の受給期間、配偶者の収入、教育費、住居費、貯蓄、団信など、家庭ごとの条件を考える必要があります。
遺族年金を知ったら、次に「必要保障額」を考える
ここまで読んで、
「遺族年金の仕組みは分かった。でも、自分の家庭では結局いくら必要なの?」
と思った方もいるでしょう。
ここから先は、遺族年金そのものの知識だけでは判断できません。
必要なのは、
家族に必要なお金と、すでにある保障・資産を並べて、不足額を考えること
です。
つまり、
必要保障額=必要なお金-すでにあるお金
という考え方です。
「遺族年金はいくら?」という疑問から一歩進んで、
「遺族年金を受け取ったとしても、自分の家庭にはいくら不足するのか?」
を考えることが、生命保険を適正化するためのポイントになります。
まとめ:遺族年金は「ある・ない」ではなく、いくら不足するかで考える
40代子持ち家庭が遺族年金を考えるとき、押さえておきたいポイントは次のとおりです。
- 遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金がある
- 条件を満たせば両方を受け取れる場合がある
- 遺族基礎年金は子どもの年齢が重要
- 遺族厚生年金は亡くなった人の加入状況や報酬などによって変わる
- 会社員と自営業では公的保障の構造が異なる
- 共働き家庭では、どちらが亡くなった場合も考える
- 遺族年金だけでなく、配偶者の収入や貯蓄なども含めて考える
- 最後は「必要なお金」と「すでにあるお金」の差額を見る
そして最も大切なのは、
「遺族年金があるから大丈夫」でも、「遺族年金だけでは足りないから生命保険をたくさん」でもなく、自分の家庭に本当に必要な保障を考えることです。
さらに具体的に知りたい方へ
ここまでの記事では、40代子持ち家庭がまず知っておきたい遺族年金の全体像を整理しました。
一方で、
- 自分の家庭なら遺族年金はいくらくらいになるのか
- 子どもの人数や年齢でどう変わるのか
- 会社員と自営業ではどの程度違うのか
- 遺族年金で生活費や教育費をどこまでカバーできるのか
- 遺族年金を踏まえて、生命保険の死亡保障をどう考えればいいのか
まで具体的に考えたい方は、「40代子持ち家庭の遺族年金完全ガイド」で、ケース別に詳しく整理しています。
「遺族年金がある」という事実だけで安心するのではなく、自分の家庭に必要な保障を、自分で判断できる状態にすることを目指しましょう。
※ 遺族年金制度は今後改正される予定があります。この記事では2026年度時点の制度をもとに解説しています。今後の制度改正によって、受給要件や給付内容などが変わる可能性があります。
元保険営業として、これまで多くの契約を見てきました。
その中で感じたのは、「とりあえず多めに入る」か「よく分からず不足している」か、極端なケースがとても多いということです。
当時はそれが当たり前だと思っていましたが、今振り返ると、必ずしも最適な選び方ではありませんでした。
このブログでは、40代で子どもがいる家庭に向けて、「多すぎず、不足しない」ちょうどいい死亡保障の考え方を、できるだけシンプルに解説しています。
難しい専門用語ではなく、「自分の家庭ならどう考えるか」が分かる内容を意識しています。
